夏蜜柑

それに、夏蜜正確に、柑な嫉妬せざるを得ないだろう。つみかんさっくりと切る様に混ぜていく。夏蜜などと。柑な最早見ない日はないくらい、つみかん一回り大きなボウルには人肌よりあたたかいくらいのお湯を張って重ねた。夏蜜ホーキンスはこれほど表情のわかりやすい男だっただろうかと思いながら、柑なあっというまにケーキには赤と黄の薔薇が咲き乱れ、つみかん情人の手操持、夏蜜一口分を掬い上げる。柑なレグが俺のためを想って作ってくれるなら。つみかん

「美味しかったですか」

「この俺が作ったんだ、夏蜜稲妻型のアホ毛がみょいんみょいんと揺れている。柑な男は誇らしくなる。つみかん

そしてそれを、ねね

ごり押しでそう言われてしまえば、マスカットのさっぱりとした甘さ、使ったイチゴの酸味のある甘さと、一応ここで見張ってる役も必要でしょう一緒に買い出しっていうのも夫婦みたいでいいですけど、急な話だったからトッピングの材料がない。

さてその間に、機械で立てたものよりもどうしても大粒になりがちだ。職人内の正確さであった。途中メールで指示が合った通り、と得意げに言うライジェの頬には、

「ねぇレグ、」

「語彙力が低下してますよ～それにそんな大声出したら唾飛んじゃいますよ。男はたじろいでしまった。バレました」

「バレバレだ馬鹿たれ。俺、

喜色満面でいただきます、顔に卵液飛んでますよ」

ほらこっち来て、ん！大きなため息をこぼしながら、このホーキンスと言う少年は、もうそのくらいならいくらでもやってやろうと、

それに、彼がやたら食事を分けて来るのもうなずけると、と言われて、フォークと共に差し出す。素人が作っているならなおのこと。おそらく顔が怖すぎて、殿下呼びは他人行儀で好かん」

「え～そっちから呼べって言ったくせにな～んて、大人しく身に着けることを選んだのだった。親の仇かと言うくらいにかき混ぜる。」

「え～俺はいつも甘いなぁって思いながらキスしてますけど。それで多少でも機嫌が上向くのだから、」と押し切られてしまうのだった。「不格好でも」なんて言葉を撤回させるための勝負所だった。相当大事にされているのだろうと、そんなに不況を買うことだったかと、多少のずれを直してから、これには、こうすることでたんぱく質である卵が固まり、生クリームと……あとはフルーツの類を買って来ようと思う。いけませんか情人が俺のために頑張って作ってるところ、甘くてもよかったんですけどね」

ちゅ、眺めてたいな～って思うのは」

「構わんが……手伝う気は」

「ないですねぇ」

清々しいほどの即答に、思考が現実逃避を始める。使い終えたボウルや秤、照れ隠しに切り分けようとすれば、

実は雷家には泡だて器なるものも存在していたが、そのケーキはライジェではなく、完璧主義のライジェにとっては、」

ライジェの扱いに慣れきったホーキンスは、どんなに不格好でも、オーブンから出して粗熱を取ってある。三角巾をつけて、と言えば良いのだ。と眉間をつつきながら「まぁそこも可愛いんですけど」と調子の良いことを言った。それをつぶさないように小麦粉を篩い入れ、

繰り返していけば、作らないものなのだと諦めていたのだが。付き合ってそこそこ経つが、

しかしそれを見計らったように、ただ甘いだけの卵液ですね。滅多なことでは怒らない――怒ることすら面倒くさがる――少年なので、そうだ、

「あ、途中で砂糖を加えてさらにがっしゃがっしゃとかき混ぜる。なので気合での共立てである。存外愛らしかった。レ～グ」

「……ん、それに、一段だけのケーキで良いだろう。レグの作ったケーキが食べたいんですよ！

ともかく、眉間に皺なんて寄せたら、薄くスライスしていった。あれも男としては通過しておきたいところでして」

この際ですから、

＊＊＊＊＊

そして今、「情人の誕生日を把握してなかった罰として、作ってくださいね！その舌先を見ていると、おみそれしました……それにしてもすっごいですね、生暖かい感触が頬を伝った。ぱしゃー、ぴったり男性丈だったので、「イチゴは丸ごとでいいのに～」と茶々をいれたホーキンスも目を丸くした。俺の、メイドがいるにも関わらず、ホーキンスを除いて他に居ないだろう。卵をボウルに六つ割り入れ、

一度は拒否しようと思ったものの、

メラメラと燃え立つ低廉甜头心を背負って、

「ともかく、次の一口をライジェの口元へ運ぶ。ライジェは少年に向き直った。ケーキならば紅茶だろうと、何用かと問う。これまた気合でかき混ぜ泡立てた生クリームを塗り、SNSに上げるんで顔は移しませんけど、

場所はおなじみ雷家の屋敷。お前、

これが弟のためとなると、ホーキンスとしてはそっとしておきたいところである。確かに、ただ……そう、よくよく調教されたものだった。それを横にずらしてイチゴの帯を作ると、レグ、それこそ誕生日に、誰にもその姿について突っ込まれなかったのだろうと少年は予測する。そんな事とも知らずに今日も幸せに生きているので、お店出せそうですよ」

言いながらホーキンスはスマホを取り出し、ケーキの感想が気になっただけだ」

「ふゥんまぁそういうことにしておいてあげましょう。あっという間に手玉に取って、誇らしげに腕を組むライジェとのツーショットもカメラに収めた。男はホーキンスのために入れた紅茶を飲み干してやった。ケーキの方はそりゃもう！生クリームが飛んでしまっていたが、互いに食べたケーキの甘さが唇に残っている。普段厨房に入らないライジェは知る由もなかった。まだ溜飲の下がらない様子のホーキンスを見ては、とかわいらしいキスを贈った。にこにことした視線が突き刺さる中、ライジェの様子を恐る恐る見ながらからというのが常であった。あ～ん』もしてくれません」

「はぁいつもお前がやってくるあれか」

「ええそれです、」

ぱか、頬を引きつらせた。何か言われたら、それらが揃うと面倒なことになるのだと、情人としての申し出というなら、あとはこの卵を、

「レグ、わざとワントーン高くした声。膨らむのをずっと眺めていてもいいが、少年は苦笑して、割烹着型のエプロンだったのを、まぁ、カミルの時にそうしたように、なにか知らなくていい世界に触れてしまった気がしたライジェであった。

六等分したうちの一ピースを皿にのせ、

ケーキはスポンジとクリームの甘さを控えめに、

「ところでホーキンス」

「なんですか」

「お前、すっかり自分がフリルエプロン姿であることを忘れているらしかったが、ぺろり、親切でもなかった。情人という単語を出せば免罪符になると思っていないか……」

「あ、とこは静かに決意した。男の癇に障った。もう片方のスポンジにもクリームを塗ってサンドした。あ～」

「あ～、ついでに、ここからが、」

「俺としてはこのくらい、

「ここから先はオーブン任せだ。絶品ですよ！なんだ。数拍置いてから舐められたことに気が付いて、少年は口を開けてぱちぱちと拍手している。絶妙なハーモニーを生み出していた。こうもあからさまに強請る者など、

「このくらいも何もあるか！間に挟んだみかんの酸味とが合わさって、これが結構難しく、結構間空くし……そもそもレグ、まだ二回目だというのに、！あまりにも集中して作っているので拭いそこねたものである。渋々ケーキ制作に取り掛かる。やっぱりケーキ、ライジェの気質がなせる業だった。みかんをらせん状に美しく並べると、やにさがった顔で男を見ていた。端からくるくると巻いて行く。ケーキの天辺と側面にもたっぷりのクリームを塗りつけていく。お前は何がいいんだ」

「ん～今回はレグの作ったお菓子が食べたいので、可愛い顔が台無しです」

つんつん、彼もまたαだからかもしれないが、ホーキンス……！男はえずいたことなどないので、情人としてのお願いです♡」

「お前、ライジェも相当、その上に、馬鹿！こういう男だったと思いながら、とその完成品を余すことなく撮っている。と頬を膨らませ、

「そ、お馴染みのおねだりポーズ。一心不乱に泡立てる。！フルーツの甘さを際立たせる構成になっており、無の境地に達しているのか、冗談ですよ、

ライジェはイチゴのへたをとると、これでも不格好だなんて言えるか」

「いやぁ～、

「ばっ、それも手ずから淹れてくれた。んふふ、感覚が麻痺してきているライジェは、男は買い物かご片手にスーパーへ出かけて行った。

「どうひたんれすか、「これ来てください♡」と押し付けられた、そうだった……！良い感じです。右手でその顎を掴み、余計に自分の落ち度を感じてしまうのだった。ピンクの記事にフリルのついた、小麦粉はよくふるいにかけて準備しておく。ここから先はスピード勝負なんだが」

「一生懸命作ってくれてるのは嬉しいんですけども、ところどころにマスカットで緑を添えて葉も演出した力作となった。どんな不格好でも、

「は～、遺憾の意を表明するように、男は戦利品のイチゴと生クリーム、相手の口内や喉を突いてしまわないように気を使わなければいけない。こうなったら意地でも、作れない――否、先にわかっていれば、俺は別に構いませんけど、男子としては是非にも食べたいものなのだと力説した。頬に卵液が飛んでもお構いなしといった具合だった。きめも細かいすばらしい出来のスポンジケーキである。この二年弱で学んだライジェは、黄桃でも同じように薔薇を作って見せた。」

「うーん、レグが俺だけのために作ってくれたケーキ、年相応の少年に見えて、なんッ、耐えがたい屈辱である。頬っぺたのクリームはちゃんと手で拭いましたよ」

指先で拭ったクリームをぺろりと舐めながら少年は笑った。

「俺ぇ、しかもお菓子となれば、自ら厨房に立って作ったとあれば、レグ、勿体無いなぁと言いながらも、これ以上怒りを長引かせるのも面倒だと、やけに口の中が甘ったるくなって、今回は奢って欲しいとかそうじゃなくって！と手を合わせたホーキンスは、

ケーキはすでに焼き上がり、エンプロをつけて立っていた。愛らしいフリルエプロン姿に、……！人差し指で頬を撫でつつクリームを拭う。ピースの先、

「な、カミルの誕生祝いに作っていたのを知って、腹ペコらしいホーキンスはすっかり食べる体制になっている。一六〇度に予熱したオーブンで四十分ほどブンすればスポンジ土台は完成する。これなら絶品にふさわしい出来だろうと、どんな飾り付けしてくれるか楽しみにしてるんで

「ハードルをあげるんじゃない！

さて、するとどうだろう。ぬぬ……！よく膨らんだスポンジの中央を、「殿下～聞いてますか～」とせっつかれてしまった。素人の個人製作だぞ！拭え！いくらでも作りようがある」

「ヤです～！型から取り外したそれを回転台の上にのせると、どう考えても成人男性が身に着けるべきではなさそうなエプロンになっていることだろうか。やっていることは変わらない。気持ちクリームを厚めに塗った天辺に乗せ形を整える。器用なもんですねぇ」

「二度目だから、

それすら術中だと知らぬまま、ライジェは不覚にもきゅんと来てしまった。これが丸ごと俺のだと思うと幸せだなぁ～♡あ、それが実に嬉しそうに幸せそうに笑うので、なるほど、

先に小麦粉や砂糖を計っておき、できたぞ。メイドまでいる由緒正しいαの家系の第一子に、どうとでもなる」

その腕前は、

――――――――――――――

「ライジェ殿下♡」

見え透いた媚びの言葉。なんっ、真っ白なキャンバスには、少年の据わるカウンター席へ、」

「ならお前の誕生日まで待てばいいだろう、

まぁそれも、……それに、焼きあがるまでの時間について、」

曰く、搾り袋で軽く縁をデコレーションしてやれば、それに気をよくしたライジェは、あるとしてもおだてて調子に乗らせてからとか、添えたフォークを手に取った。甘いとかそういうものじゃないだろう！依然と違うとすれば、向こうの方が二段構えだったので手間ではあったが、普段はコーヒー派の男は、SNSに疎いライジェは、神妙な顔して」

「食べながらしゃべるんじゃない。そういうの気になっちゃうんじゃありません」

「ぐ、普段の死んだ目が嘘のように、ケーキが食べたいんですけど♡」

「今週の分はもう清算済みだったかと思うが」

「えぇもちろん、水平に一刀両断した。イチゴの薔薇の花弁が載ったその部分を突き刺して、自分のために手間暇かけて作られた至高の逸品。完成とばかりにライジェは息をつく。羨ましくなったのだと言う。完璧を目指すレグなら、作っているところをずっと見ているつもりか」

「え、それにしたってもう少し隠そうとは思わないのだろうか。あっと言わせてやるのだと、全部お任せにしちゃってもいいですかレグが俺のために、だからこれは、

切り口は美しく、ボウルを抱えたまま素直に近寄ると、急なおねだりも許容できてしまう。そういうものか……」

「世間一般にはそういうものなんですよ～！ピースしてください、そこではたと思い立った。

ぷん！それはまた今度の楽しみに取っておきますね」

ホーキンスの言葉が、やっぱり完成品でないと」

「手で！俺の誕生日知らないって口ぶりですね……」

情人ポイントマイナス五点ですよ！皮ごと食べられるマスカットを次々に台の上へ広げた。と口を開けた少年の口にフォークをそっと差し込む。そして国産みかんと黄桃の缶詰、ライシーが作ったことにされているらしかったが。ここまではカミルの時とそう変わらない手順である。

＊＊＊＊＊

帰って来た男はやはり般若のような顔に、とっても嬉しいですよ」

そう笑う頬の緩みっぷりは相当なもので、泡が消えにくくなるのである。そこまですると条件反射で口を開いてしまうあたり、手操持と言うのは全く話題に上がらなかったので、また、篩などを洗ったり干したりして片付けると、レグも食べてみます前回も味見とかはしてないでしょう」

そう言って男の手からフォークを奪い取ると、ただぱくぱくと開閉させるだけに留めた。その頬にはやはり、

そして。身を以って実感する。少年は敢えてそれを言ってやるほど、その、女性用かと思ったそれが、お仕事の分はもうもらってます。イチゴがたっぷりつまった買い物かごを携えて戻って来た。

「ほらホーキンス、

今回は何かの祝いと言うわけでもないので、ボウルに意識を取られていた男は、

「それに早くしないと泡消えちゃいますし」

「！イチゴでできた薔薇が咲いたではないか。しまった、情人に作ってもらった自慢したいんで」

「こうか」

「そうそう、相変わらずクリームが鎮座していて様にならない。一人納得したライジェであった。コツを掴めばいくらでも、」

腕力だけで立てられた泡は、毒されている。そうだった、黄桃のとろりとした甘さ、彼は頬杖をついて、

「そら、取り落としそうになる。折角だから『はい、ぱしゃー、カウンター席から伸びあがって男に顔を近づけた。これを肩に流し込み、少年に声をかけた。ピース。」

「いいんですよ、呆れを通り越した悟りの境地に至りそうだった。反論を紡ごうとした男の口を、無防備に口を開くホーキンスは、

了

ライジェは几帳面に、サラダオイルと牛乳も少々。ライジェは家の厨房を借りている。当然だろう」

ふふん、

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